交差点の横断歩道先で停めるんです

データセンターを出ると、外は深夜の闇の中。

終電は、もう無い。ていうか終電で帰れたのいつだっけ?

同僚は始発まで仮眠を取ってから帰るそうだ。最近のヤツの枕は、デスク上のノートパソコンらしい。まあ、暖かいよね、PCの余熱で。

いつもの通り、終電を逃したリーマン達を待つタクシーの所へ。どうやって嗅ぎつけたのか、交差点横断歩道の信号より先で待つ1台のタクシーへ。

なぜなら、データセンターから出た客は横断歩道を渡る。待つならココだが、単純に赤信号の手前に待たれては、スタートが遅れる。ワザと低速で交差点を通過して、赤信号と横断歩道を背にして待っているのだ。この辺は交番が近いのと、データセンターの守衛がウルサイらしく、涙ぐましいテクを使って俺たちを待っていてくれている。客待ち停車は注意されるのだ。

タクシーに乗ると、年齢が同じくらいのオッサンがが運転手だ。お互い軽く会釈。おれは完全にマークされたっぽい。よく俺の退社タイミングがわかるもんだなぁ。

そこから興味が湧いたのと、自腹で乗ったせいもあって話が弾んだ。このドライバーは、タクシー歴半年程度の新人さんの部類に入るらしい。元は介護士だそうだ。交差点の止め方は指導担当の先輩に教えて貰ったとの事。妙にキラキラした目で語ってくれた。

タクシードライバーの転職」俺は思わず呟いてしまった。バックミラー越しに運転手はコチラを見ている。

こんな時間まで働くなら、タクシードライバーの方がいいかもな。俺は乗務員募集のチラシを手に取っていた。